いつしか、私の回りからひとつづつ無くなって行く。
父がなくなり、母がなくなり、姉妹がなくなり、つれあいがなくなり
犬が逃げ出し、猫が疾走し、
お気に入りのネッカチーフがもみくちゃにされて地べたに投げ出されている。
そして、いつのまにか、見知らぬものたちが、
素知らぬ顔をして素通りしていく。
実に、私が本当にそのように信じた時にこそ
全ては完全に失われているのに、
紛失の予想の中にそれを信じることは
すでに、私をどこまでも貧しく孤独にしている。
